環境のためにできる取り組みのひとつ、「リユース」。ごみを減らすだけでなく、資源やエネルギーの消費を抑えるなどのメリットがあります。
今回は、リユースとは何か、リサイクルとの違いやメリット、リユースの具体的な方法を紹介します!
リユースとは、形を変えずに再使用することを意味します。例えば着なくなった服を欲しい人にあげたり、読み終わった本を古本屋に売ったりするのはリユースです。
つまり、物を捨ててしまう前に寄付や交換、買取などに回すことで、もう一度販売や消費の段階に戻し、使いたい人が再使用できるようにする仕組みをリユースと呼びます。
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リサイクルでも「再使用する」という言葉が使われますが、リサイクルの場合は「形を変えて再利用する」というのが適切です。
例えばペットボトルのリサイクルでは、ペットボトルは溶かされて合成樹脂に再生され、新たなペットボトルや食品トレイ、また服や靴、バッグなどの繊維製品に加工されます。
このようなリサイクルでは再資源化する過程でエネルギーを消費し、二酸化炭素が排出されてしまいます。一方リユースは資源をそのまま使うため、エネルギー消費などを抑えられます。リユースは環境への負荷がより少ない点が、リサイクルとの違いです。
加えて、リサイクルは消費者だけの力ではできず、業者が主体となりますが、リユースなら個人が物を受け渡す行動だけで完結します。つまり一人ひとりの行動次第で、リユースの取り組みを広げ、資源の循環を生み出せるということです。
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形を変えずに再使用するリユースは、環境や経済にさまざまなメリットをもたらすといわれています。
環境省が平成22年度に行った調査によると、新品の製品を一度使用して廃棄した場合に比べて、新品の製品がリユースされた場合、社会全体で見ると製品ひとつ当たりの平均使用年数が延びるということがわかりました。
例えば冷蔵庫なら+ 0.6年で平均使用年数は12.2年、洗濯機は+ 0.3年で平均使用年数が11.3年になるなど、ひとつの製品を長く使う効果が見られています。
また、使用年数が延びることで、年間19万〜100万台の廃棄物の削減効果が期待されています。
(参照: https://www.env.go.jp/recycle/circul/reuse/confs/rep27-3.pdf)
製品をリユースすることで、新たな製品を製造する過程で出る二酸化炭素を抑えることができると同時に、製品を廃棄する際に排出される二酸化炭素も削減できます。
ただし、エアコンなど使用時にエネルギーを消費するものに関しては、新しい製品の方が省エネ性能が高い場合があり、リユースする製品によっては二酸化炭素の排出量を増やしてしまう可能性があります。その点に関しては、製品を見極める柔軟な選択が必要といえるでしょう。
家庭や事業所から出るごみは市町村が回収し処理を行い、その費用は税金から支払われています。リユースによってごみが減れば、それに伴いごみ処理にかかる費用も削減できるのです。
自治体によってごみ処理にかかるコストは異なりますが、ごみを減らすことで処理にかかる費用が削減できるのは社会全体に共通するメリットです。
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自分でできるリユースとしては、シャンプーやリンスなどの詰め替え商品を選ぶというのも、容器のリユースになります。
では、不要な物を誰かにリユースしたい場合には、どうすれば良いでしょうか。
家に居ながらリユース先を見つけられる簡単な方法として、フリマアプリやネットオークションがあります。
フリマアプリは、服や本などを自分で決めた金額で出品できるシステムです。一方ネットオークションの場合は、リユースしたい製品を出品し、決められた時間までに最も高い価格で入札した人が購入できるシステムです。
それぞれのプラットホーム上では詐欺やトラブルなどがないか運営者がきちんと管理しているため、安心して利用できます。
学校のバザーや地域のリユースイベントに参加するのもひとつの方法です。バザーに不要な物を提供し、売上金を学校などに寄付するといったチャリティーの一環でもあります。物をただ捨てるのではなく、こうした支援に役立てるのも良いでしょう。
また、自治体などもリユースイベントや情報交換掲示板などを設けていることがあります。自治体のホームページから調べてみることをおすすめします。
リユースショップは不要な物を買い取ってくれるお店で、主に3つの方法があります。1つ目は「店頭に持って行く」、2つ目は「出張で家まで取りに来てもらう」、3つ目は「宅配便でショップに送る」という方法です。
衣服や日用品など自分で持ち運べるものは店頭に持って行き、大型の家電などは家まで取りに来てもらうなど、リユースしたい物に合わせた方法を選ぶと良いでしょう。
注意点としては、一般廃棄物の許可を持っていないのに回収を行うと呼びかけるリユース業者がいることです。このような業者が回収したものを不法投棄する事例も出ているため、許可があるかを良く確認しましょう。
(参照:https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html)
リユースは形を変えずに再使用でき、個人の力で完結できる取り組みという点がリサイクルとの違いです。
日本では毎日大量のごみが出されており、環境省の調査によると年間4,289万トン、東京ドームで換算すると約115杯分であることがわかっています。(平成29年度)
ほとんどのごみは焼却処分されますが、ごみを燃やす際に排出される二酸化炭素が地球温暖化を進め、さらにはごみの最終処分場である埋立地が20年後には満杯になる可能性があるなど、ごみ問題は深刻化しています。
こうした問題を解決するには、一人ひとりがごみを減らしていくことが不可欠です。不要な物はすぐに捨てずにリユースを心掛け、みんなの行動で環境を守っていきましょう。
(参照:https://www.env.go.jp/press/106564.html)
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