植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べて脂質やカロリーが低いこともあり、昨今注目を集めています。
しかし、筋トレをしている人にとっては「植物性たんぱく質って筋肉はつくの?」と気になるのではないでしょうか?
今回は植物性たんぱく質と動物性たんぱく質との筋肉のつくられ方の違いを解説します。
植物性たんぱく質は、主に大豆や豆類、穀物などに含まれるたんぱく質です。これらを食べることで筋肉がつくのかという疑問ですが、結論からいうと「植物性たんぱく質の摂り方によっては筋肉をつけられる」というのが適切でしょう。
なぜなら、植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べて筋肉を増強・修復する力が弱いと考えられているからです。
植物性たんぱく質が動物性たんぱく質に比べて筋肉を増強する力が弱い理由として、植物性食品に含まれる食物繊維などの成分がたんぱく質の吸収を妨げているのではと考えられています。
オランダでの研究によれば、植物性食品から植物性たんぱく質のみを抽出して精製した場合、たんぱく質の吸収率は動物性のものと変わらないという結果が報告されています。
加えて、植物性たんぱく質は必須アミノ酸の含有量が少ないことも理由のひとつです。植物性食品の種類にもよりますが、リジンやメチオニンといった特定のアミノ酸が不足している場合があります。
また、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質ではアミノ酸を利用して筋肉が作られていくプロセスが違うことも、理由として考えられています。
(参照:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8566416/)
たんぱく質の吸収率を上げるためには、摂取する量を増やしたりさまざまな種類の植物性食品を組み合わせたりすると、効果が期待できるとされています。
多種類の食品を摂ることで不足しているアミノ酸を補い、バランスを改善できると考えられているからです。
また、植物性たんぱく質を摂りながら長期間筋トレするという方法で、筋肉の量と強さがアップしたという研究結果が報告されています。
このように、植物性たんぱく質は摂り方次第で筋肉をつけることが可能だといえるでしょう。
(参照:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170964/
https://www.morinaga.co.jp/protein/dietitiancolumns/detail/?id=22&category=special)
筋肉を増強する目的では、動物性たんぱく質の方が適していますが、筋肉の維持をサポートする意味では植物性たんぱく質が向いているという研究があります。
動物性たんぱく質は脂質やカロリーが高いため、たんぱく質を摂ると同時に脂質やカロリーも多く摂ってしまいがちですが、植物性たんぱく質なら脂質やカロリーが低い特徴があります。
そのため余計な脂肪を落として適度に引き締めたい人にとって、植物性たんぱく質は最適なのです。
たんぱく質不足は代謝が落ち、太りやすい体質になってしまうため、体型や筋肉を維持したい人は大豆などの植物性食品からたんぱく質を摂ることをおすすめします。
(参照:https://www.fujifoundation.or.jp/search/pdf/038/38_30.pdf)
最近では植物性たんぱく質と動物性たんぱく質を同時に摂取することで、相乗効果が得られるとして注目が高まっています。
植物性たんぱく質を代表する大豆たんぱくにはイソフラボンが含まれており、比較的吸収速度がゆっくりで腹持ちが良く、脂肪燃焼効果が期待できます。
一方動物性たんぱく質は必須アミノ酸を多く含んでいるため、筋肉づくりに効果的です。この2つのたんぱく質を同時に摂ることで、筋肉の合成が活性化され分解を抑制するほか、吸収性が持続し血中たんぱく質濃度を長く維持できるメリットがあるといいます。
同時に摂取すればそれぞれが持つ栄養成分の効果を一度に得られるため、相乗効果が期待できるというわけです。
これからはどちらかのたんぱく質に偏るのではなく、同時に2つのたんぱく質を摂ることを意識して食事メニューを考えてみても良いかもしれません。
(参照:https://corporate.kyusai.co.jp/w-protein/chapter4-2.html)
植物性たんぱく質は筋肉がつかないわけではなく、摂り方次第で吸収率を上げ、筋肉をつけることができます。しかし、筋肉の増強を目的とするならば、必須アミノ酸の含有量や吸収率が高い動物性たんぱく質の方が適しているといえるでしょう。
とはいえ植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べて脂質やカロリーが低いため、健康目的で筋肉を維持したい人には最適です。
それぞれに特徴やメリットがあるため、自分の目的にあわせてたんぱく質を摂ることをおすすめします。
また、植物性たんぱく質と動物性たんぱく質を同時に摂るという方法もありますので、ぜひこれを機に試してみてはいかがでしょうか。
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