いろいろなところで耳にするようになった「サステナブル」。その中でも「サステナブルフード」という言葉があります。
今回は「サステナブルフードとは何か」をテーマに、サステナブルフードの背景にある食の問題や、サステナブルフードを示す認証マークについて解説します!
「サステナブルフード=持続可能な食べ物」とは、地球環境や人々の暮らし、社会に配慮して作られた食べ物のことです。
例えば、生産の過程での土壌や水質の汚染がないか、二酸化炭素の排出を削減しているかなど、環境に配慮して作られた食材や食品を指します。
また、労働者の人権や労働環境に配慮して作られた食材、食品もサステナブルフードに当てはまります。
食べ物は私たちが生きていく上で必要不可欠なものであり、環境や働く人に負荷を掛け続けていては持続可能な社会は築けません。サステナブルな食は持続可能な社会を目指す上で重要なのです。
(参照:https://www.env.go.jp/content/900442196.pdf)
では、食と環境負荷はどのように関わっているのでしょうか。食に関わる環境問題で広く知られているのが「食品ロス」ですが、実はそれだけではありません。
農作物の成長を促すために化学肥料を大量に使用するケースがあり、それによって土壌汚染や水質汚染が発生しています。
化学肥料には窒素が含まれるものが多く、それが変化した硫酸性窒素が植物に吸収しきれない量になると、土壌や地下水を汚染してしまうのです。
さらに河川に硫酸性窒素が流れ込むと、河川、湖、海などが富栄養化する問題も起きています。富栄養化とは水中の栄養分が増えることで、特定のプランクトンが増え過ぎてしまい、水中の生態系バランスが崩れてしまいます。プランクトンによって光が遮られて水草が枯れてしまったり、水中が酸欠状態になって魚介類が死んでしまったりします。
このように化学肥料の大量使用は、土壌汚染だけにとどまらず、水の生態系の問題にまでつながるのです。
(参照:https://www.env.go.jp/council/09water/y090-20/mat10.pdf
https://ocean.nowpap3.go.jp/?page_id=568)
日本を含め、世界では魚介類の獲り過ぎによる海洋生物の減少が問題になっています。国際食糧農業機関(FAO)が2022年に発表したレポートは、世界で行われている漁業のうち35.4%が持続可能な水準値を超えた「獲り過ぎ」の状態であると報告しています。
また、WWFの「生きている地球レポート」によれば、世界の海洋生物は1970年から2012年にかけてほぼ半減(49%)したとされています。減少の主な要因は過剰漁獲(獲り過ぎ)や違法漁業、破壊的な漁業です。
違法漁業は漁獲量の割り当てなどの規制を無視して操業することです。さらに破壊的な漁業とは、毒やダイナマイトなどを使い魚を麻痺させたり、殺したりして獲ることをいい、過剰漁獲にもつながります。
このような違法漁業、破壊的な漁業の影響によって、海洋生物は減り続けているのです。
(参照:https://www.fao.org/3/cc0461en/cc0461en.pdf
http://assets.wwf.org.uk/custom/stories/living_blue_planet/
https://www.msc.org/jp/what-you-can-do/learn-about-fishery-issues/overfishing-illegal-and-destructive-fishing-JP)
このような問題の対策を取って生産されたのが、サステナブルフード。その判断基準として役立つのが、環境に配慮して生産された証明となる「認証マーク」です。認証マークには以下のような種類があります。
国際フェアトレード認証とは、原料の生産、輸出入、加工、製造に至るまで国際フェアトレード機構が定めた基準を満たしている証となるマークです。
生産者や労働者にとって公平な条件で取引され、原料や製品においても公平な貿易が行われていることの証明でもあります。
(参照:https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/intl_license.php)
有機JASマークは化学肥料、農薬、遺伝子組み換え技術を使用していない、「有機栽培」「オーガニック」の食材、食品であることを証明したマークです。
有機JASマークが貼付されているものだけが「有機」「オーガニック」と表示できます。反対にマークがないものがこれらの言葉を表示することは禁止されています。
(参照:https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html)
森林や生態系の保護、生産者や農園労働者の健全な労働環境など、持続可能な運営基準を満たした農園に与えられる認証マークです。
気候変動に配慮した農法で、天然資源や生態系を守りながら、労働者の生活水準の向上などにも取り組む、サステナブルな農園である証です。
認証マークがついた製品は主にコーヒー、紅茶、バナナ、チョコレート、マカダミアナッツなどがあります。
(参照:https://www.rainforest-alliance.org/ja/)
MSC認証とは「海のエコラベル」とも呼ばれ、水資源を守るために持続可能な天然漁業で獲られた水産物に与えられる認証マークです。
海のエコラベルが貼付されたものは、過剰漁獲や違法漁業、破壊的な漁業で獲られたものではないと証明されていることになります。
(参照:https://www.msc.org/jp/what-we-are-doing/what-does-the-blue-msc-label-mean-JP)
ASC認証とは、養殖業を対象にした認証マークです。天然の水産資源には限りがあるため、養殖業は年々増加傾向にあります。しかし、養殖には水質汚染や海洋汚染などが発生しやすいデメリットがあるのです。
ASC認証を受けた水産物は、水資源を守りながら、持続可能な方法で養殖されていることの証明になります。
(参照:https://jp.asc-aqua.org/what-we-do/asc-certification/)
私たちが普段何気なく口にしているものにも、実は大きな環境負荷を掛けて生産されているものがあることを認識しなくてはいけません。
消費者の立場からできることは、環境や生産者に配慮して作られたサステナブルフードを選ぶことです。
今回紹介した認証マークを、選ぶ際の判断基準にすると良いでしょう。買い物に行った際に、早速アクションを起こしてみてはいかがでしょうか。
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